2019/01/28
特典航空券といえば、貯めたマイルに応じて飛行機のチケットと交換できる航空会社のマイレージ会員向けサービス。
ただし、国内大手のJALやANAの場合、航空券の利用は会員本人か祖父母、兄弟までの2親等以内の家族に限定されている。ところが、最近、この特典航空券をマイレージ会員ではない一般の方が自由に購入できる「マイルシェア」なるサイトが登場している。運賃や航空券代ではなく「国内線シェアリングフライト『システム利用料』」と表記されているところを見ると、どうやらシェアサービスの一種のようだ。
購入できるのは、現時点では国内線とビジネスクラスの国際線のみ。路線も限られており、特典航空券なのでマイルも貯まらないが、国内線なら東京発着便が片道1万2900円~という安さもあって、新しいサービスとして注目を集めている。
これについて航空ジャーナリストの坪田敦史氏は、「日本では馴染みがないかもしれませんが、海外では以前から行われていた」と明かす。
「アメリカの航空会社は、マイルを金券のよう使用したり、余ったマイルを他人に譲与するといった考え方を認めているんです」
しかも、アメリカン航空はJALと同じワンワールド、ユナイテッド航空はANAと同じスターアライアンスという提携グループにそれぞれ属しているため、提携エアラインである日本の航空会社の特典航空券にも交換が可能というわけだ。「マイルシェア」もこの仕組みを利用したサービス。
「さらにアメリカにはマイルをお金で購入できる航空会社もあります。例えば、1万9000マイルを持っている人が1000マイル買って2万マイル分の特典航空券と交換。手に入れた航空券を仲介業者に売って、現金化することも可能です」
海外には航空会社のサイト以外にもANAを含む15社のマイルを扱う「BUY AIRLINE MILES」、日系はないが17社のマイルを販売する「the mileage club」などのサイトもある。
「飛行機で各地を飛び回るアメリカのビジネスマンは、どんどんマイルが溜まり、会社の経費で航空券を買ってもマイルは個人の口座に貯まるため、『余って仕方ない』という人が数え切れないほどいるのです」
いずれも英語サイトだが、日本人でも利用できる。わざわざ飛行機に乗らなくても簡単に、それも大量のマイルが獲得できるのは確かに便利だ。一方、日本ではヤフオクなどのネットオークションを中心にJALやANAのマイル取引が盛んに行われており、ここからも購入できるという。
「ほとんどはマイルを売買できる業者がこっそり行っているケースです。一般の個人ユーザーがマイルを売って利益を得ることはできず、少なからず“不正”が行われているのは明らかです」
なお、JALもANAもオークションサイトでのマイル購入について認める、認めないの明言はしておらず、現状ではグレー。
「マイルの出品業者は評価を気にするため、悪質なトラブルは今のところ少ないですが、購入者はマイルの口座番号やパスワードなどの個人情報を出品者側に教えなければならず、それ自体が危険です。また、こうした方法で入手したマイルなので、あとで何が起こるかはわかりません。とはいえ、『本人しか使えません』と書いてあるポイントカードを友人に貸して貯めたり、使ったりしている人が世の中にたくさんいることを考えれば、その程度のこととも言えます」
特典航空券を購入する程度なら問題ないようだが、マイルを直接買う場合、少なくとも日系航空会社では多少のリスクがありそうだ。余ったマイルを有効活用できる便利なシェアサービスかもしれないが、利用する際はくれぐれも自己責任だということを覚えておく必要がある。